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住宅ローンが払えなくなった場合でも自宅に住み続けられる方法


住宅ローンの返済に困った場合に、まず脳裏をよぎるのは「競売」かもしれません。しかし、競売に至る前には、「任意売却」という方法で住宅ローンの残債がある住まいを売却し、売却益を返済に充当する、という方法があります。

任意売却は抵当権を持つ債権者(金融機関や保証会社など)の同意が必要ですが、通常は競売よりも住まいを高く売却できます。また、競売のように裁判所を経由する手続ではないため、売却に関する情報が他人に漏れにくいというメリットもあります。しかし、住まいを売却するということは、「生活拠点を失う」ことになります。

では、住宅ローンが支払えなくなった場合でも、自宅に住み続けられる方法は無いのでしょうか。今回の記事では任意売却後に、自宅に住み続ける方法について解説します。

住宅ローンが払えなくなった場合に自宅に住み続ける方法

住宅ローンの返済が厳しく、住まいを手放すことになったとしても、生活拠点を失ってしまったら仕事や学業にも暗い影を落としてしまいます。任意売却後も暮らしを続けていくためには、新たな住居の賃貸借契約をしたり、親族の家に身を寄せたりする必要がありますが、手元資金が乏しく保証人も居なければ賃貸借契約を結ぶのは難しく、親族の家に身を寄せるとしても、生活を変えざるを得なくなります。
そこで、以下の方法で「自宅に住み続ける」ことを模索してみましょう。

リースバック

リースバックとは「セールス&リースバック」を略した言葉です。自宅を売却した後であっても、住み続けられる仕組みとして、近年注目を集めています。

リースバックを行うには、まず任意売却の際に、信頼できる不動産会社などの第三者に売却します。その後、購入者に対して「賃料」を支払っていくことで、継続して自宅に住み続けられる、という仕組みです。
つまり、リースバック後は、住まいを賃貸借して賃料を払う形になります。この方法なら、引っ越しをしなくてもいいため転職や転勤をする必要もありません。所有権を手放し賃借するため、今まで支払っていた固定資産税などの税金からも解放されます。

また、リースバック後、資金が用意できたら「買い戻す」ことも可能です。例えば、今は収入が不安定でも、将来的に配偶者やお子様が安定して収入を得るようになったら、買い戻すこともできるでしょう。
ただし、買い戻しには期限が設けられていることが多く、一般的に2~3年以内に買い戻す必要があるケースが多いです。また、買い戻しに関することはリースバックの契約を交わす際に細かく約定する必要があり、購入者と買戻しについて条件を定めなければいけません。
もっともリーガル東京の提案するリースバックでは、買い戻し期限を3年以内という短期に定めることはしていません。

親子間売買・親族間売買

任意売却の際には、「親子間売買」や「親族間売買」という方法で住まいを維持する方法も考えられます。この方法は任意売却せざるを得なくなった住まいを、子どもや親族に売却する方法です。

例えば、親が所有する任意売却対象物件を自身の子どもに売却すれば、子供が所有者となり、形式上は親が賃貸するという形になります。親子間や親族間で成立するという点ではメリットが大きいですが、現金で一括支払いをするか、新たに住宅ローンを組む必要が生じます。

住まいは高額である上、任意売却せざるを得なくなったご家庭である以上、一括支払いで購入できる十分な資金を用意できないことが多いでしょう。そのため、親子間や親族間での売買は、住宅ローンを組むことになります。

しかし、親子間・親族間の売買は住宅ローンの審査が通りにくいという問題点があります。金融機関側は親子間(親族間)売買を想定しておらず、住宅ローンの使用用途にも疑問符がついてしまうからです。

ただ、金融機関(ノンバンクを含む)によっては不動産会社が仲介に入るなど信頼できる状態であれば、住宅ローンを組める場合があります。いずれにしても専門的な知識が必要ですので、当リーガル東京などの専門知識を有する相談所にご相談されるのがおすすめです。

個人再生(個人民事再生)

裁判所を介して行われる「個人再生」とは、民事再生法を個人向けに整備した手続のことを指します。住宅ローン以外の債務総額が5000万円以下の場合に、債務を大幅に減額して収入の範囲内で返済を行う方法です。手続きには以下2つの方法があります。

1.小規模個人再生手続
2.給与所得者等再生手続

個人再生は住宅ローンの支払いを継続する必要がありますが、住宅資金特別条項(住宅ローン特則)を使って手続を進めることで、その他の債務を大幅に減額しつつ(減額できるのは担保のない債務に限定されます。)、住まいを守ることができます。利息制限法違反の利息を多く返済してきた方は、同時に過払い金請求を行えることも特徴の1つです。

このように、任意売却が必要となった段階でも引き続き暮らし続けるための方法が残されています。

自己破産では、マイホームを手放すことなる

個人再生では住宅資金特別条項を活用して住まいを残すことができますが、自己破産をするとどうなるでしょうか。
結論から言うと、自己破産をするとマイホームは手放すことになります。
自己破産には「同時廃止」と「管財事件」の2つの方法があります。住宅を所有するケースでは通常「管財事件」とされ、破産管財人となった弁護士が住宅を売却します。住宅を所有するケースでも、オーバーローンのケース(住宅の売買価格より抵当債務の金額がはるかに多い状態)だと「同時廃止」となり、破産者が自ら住宅を売却するか、売却しなければ競売になります。つまり自己破産したら、高額の財産とみなすマイホームは手放さざるを得ないのです。

■マイホームは売却処分される
住宅ローンやその他の債務に追われ自己破産に至った場合、オーバーローンのケースでなければ(破産財団に代金の一部が入るケースであれば)裁判所が任命した「破産管財人」によって住まいは処分されます。この処分を換価処分と言い、任意売却か競売で処分されます。
なお、担保権者によって競売にかけられる場合もあります。思い入れもある住まいを守りたい場合には、自己破産を回避するほかありません。しかし、自己破産には下記に挙げるようにメリットがあるとも言えます。

■すでに任意売却後であれば、自己破産のメリットは大きい
すでに任意売却を行い、自宅を失っている後であれば自己破産をするメリットは大きいと考えられます。個人再生を使う場合には、住宅資金特別条項を使って住まいを守ることが大きなメリットですが、その一方で減額されるとはいえ債務は残ります。自己破産は税金などの非免責債権を除き、全ての債務が免責となり返済義務が無くなるからです。

住宅ローンが払えなくなったら、どうすればいいのか?

住宅ローンは30年以上の返済期間を定める方も多く、長期間の返済の途中では返済に苦しむことも十分に考えられます。
では、住宅ローンがもしも払えなくなってしまったら、一体どうするべきでしょうか。

まずは金融機関に相談を

支払いに困ったら、まずは早急に金融機関に相談をしましょう。多くの金融機関はカウンセリングサービスを実施しています。返済困難な理由をヒアリングし、アドバイスを実施しています。返済に困っていると、追加で消費者金融などから借入を重ねてしまうケースも見受けられますが、新たに借入を追加してしまうとさらに困窮化する可能性があります。

金融機関によってはリスケジュール(返済額の減額)に応じてくれる場合もあります。社会的情勢の急激な変化で返済困難に陥るようなケースでは、支払い猶予に応じるケースもあります。

弁護士に早めの相談を

金融機関によっては返済の目途が立たない場合、強硬な姿勢に転じる場合もあります。住宅ローンの返済に追われている方の多くはその他の債務も抱えており、大変苦しい生活に陥っているケースもあります。住宅ローン以外でも、返済ができない状態を放置していると訴訟に発展し、不動産などの財産の差押などに至る可能性も増します。

弁護士に早めに相談をすると、任意売却のサポートはもちろんのこと、現在の借入状況に応じた適切な対処についてアドバイスができます。任意売却なら、競売よりも高額で売却できる可能性が高く、周囲に知られぬまま手続を進めることが可能です。
今回解説のとおり、リースバックの手法を選択できるならば、住まい売却後も引き続き現在の住まいに住み続けることも可能です。しかし、住宅が競売にされ入札期間が近づくと時間的に任意売却できなくなります。早くから弁護士に相談することで、慌てず適切に任意売却に臨むことが可能です。

まとめ

今回の記事では「住宅ローンが払えなくなった場合でも、自宅に住み続けられる方法」に焦点を当てて、詳しく解説を行いました。
任意売却後にも安心して住み続けるためには、リースバックや親子間・親族間売買の実績が豊富な弁護士へのご相談がおすすめです。住宅ローンの支払いに悩んだら、まずはお早めに弁護士法人リーガル東京にご相談ください。

監修者


氏名(資格)
小林 幸与(税理士・弁護士)

-コメント-
弁護士法人リーガル東京は弁護士・税理士などの専門家集団です。当法律事務所に相談依頼するだけで、購入先紹介・売買契約締結交渉・残債務整理・登記手続・税務申告のワンストップサービスを比較的低額の料金でご提供致します。

任意売却にリースバックを併用して住み続ける|メリット・デメリットを解説

住宅ローンの返済に困り、いろいろと調べてみると「任意売却」や「セールス&リースバック」という言葉を目にすると思います。

本記事では、ローン返済などの悩みがある方に、「任意売却」と「セールス&リースバック」を改めて説明し、自宅を売却後もそのまま住み続けられるということを解説していきます。

これからどこかに相談しようとお考えの方は、ぜひ参考にしてください。

任意売却とは

住宅ローンが支払えない状態が続くと、抵当権を持つローン債権者によって住宅が競売にかけられることがあります。

しかし競売では通常の売買取引より低額になる傾向があり、少しでも良い条件で住宅を売り、売買代金額を上げて住宅ローンの返済に充てたいと考えるなら、「任意売却」という方法がお勧めです。

任意売却とは、住宅ローンや事業用不動産担保ローンの返済が困難になり、融資先から一括返済を求められたり、競売になりそうになったり(または競売になったり)した際に、やむなく所有不動産を売却することを言います。

金融機関としては、任意売却する方が競売よりも高額で売却できるため、良い条件で販売できるのなら協力的に対応をしてくれることが多いです。

任意売却のメリット・デメリット

メリット1 競売よりも高額で売却できる

任意売却では、競売の落札価格より高額で売却することが可能です。任意売却をせず競売になると、市場価格の80%以下の金額になるケースが多いと言われています。

任意売却は競売とは異なり、通常の不動産売買に近い行為であるため、市場価格の金額で売却可能になり、競売よりも高い金額で売却できます。

メリット2 売却の事実が周囲に知られない

差押(競売)の事実は、不動産登記にも記載され、新聞やインターネット等で、どこのどういう不動産が競売となっているかの情報が公開されます。

そのため、競売となった住宅に見知らぬ第三者が様子を見に来るなど、煩わしいことになります。

一方、任意売却は、住宅ローン返済に困っていたなどの事実が公開されることはありません。つまり、売却の事情を周囲の人に知られることなく売却することができるのです。

デメリット1 交渉が大変

任意売却は、金融機関などの抵当債権者だけでなく、仮差押債権や税金滞納処分などがあるケースでは、さまざまな人との交渉をしなければならないことが少なくありません。購入希望者が現れれば、住宅内覧の対応もしなければなりません。

抵当債権者が任意売却を認めないケースや、購入者が直ぐに現れないケースや複数の購入希望者の対応をしなければならないケースなどもあり、交渉に手間と時間がかかります。

デメリット2 ローンを組めなくなる

住宅ローン(不動産担保ローン)を滞納した状況で、不動産を売却することになると、信用が棄損しているため、売却後にローンを組むことができなくなるケースが多いです。

任意売却とリースバックの違い

任意売却することになり、自宅を手放すことになったけど、「自宅に住み続けたい」という方もいるでしょう。子どもの転校の問題や、両親の介護、初めてのマイホームを手放したくないなど、さまざまな理由でマイホームに住み続けたい希望を持つ方が多いと思います。

そういった場合に検討していただきたいのが、セールス&リースバック(略称:リースバック)です。

リースバックとは

リースバックとは、不動産を購入した買主に毎月家賃を支払うことで、売却した家に変わらず住み続けることができる仕組みのことです。

買主が貸主、売主は借主となって、建物賃貸借契約を結ぶのです。

なお賃貸期間や賃料等の条件は、リースバックを取り扱う会社によって異なりますので、複数の会社から条件提示をもらい、リースバックの条件がより良い会社を選択されることをお勧めします。

任意売却とリースバックは併用できる

任意売却とリースバックは、住宅ローンなどの返済に困り、不動産の売却を検討する際に、どちらの方法がいいかなと選ぶものではありません。

任意売却はローンの返済が滞り、競売になる前に、少しでも高い金額で売却できる手段として選択できる方法です。

一方、リースバックは任意売却後、自宅から離れたくないと希望する場合に限り、利用するものです。つまり、リースバックは任意売却後の選択肢の一つに過ぎないのです。

任意売却が成立し、リースバックを希望しない場合は、自宅から引っ越します。

また、リースバックは、資金調達や相続対策に活用されることもあります。したがって、リースバックはローンの返済以外の目的でも利用できるものなのです。

リースバックのメリット・デメリット

メリット1 自宅に住み続けられる

売却した自宅に引き続き住むことができるのがリースバックの最大のメリットです。引っ越す必要がないため、その手間や費用もかかりません。

自宅の所有権は無くなりますが、以前と変わらず生活できるので、売却した事実を周囲の人に知られることも、まずありません。

また、リースバックは店舗(店舗併用住宅を含む)にも適用できますので、同じ場所で引きつづき商売を行いたいという場合にも活用できます。

メリット2 買い戻すことも可能

リースバックは、将来的に不動産を買い戻したいと考えている場合に、買い戻す条件を付けた売買契約にすることができます。

ご本人の名義ではなく、家族の名義で買い戻すことも可能です。例えば、お子さんが就職した後に、お子さんの名義で住宅ローンを組み、買い戻すということも可能になります。

なお買戻しの条件は、リースバックを取り扱う会社によって異なりますので、複数の会社から条件提示をもらい、買戻しの条件を含むリースバックの条件がより良い会社を選択されることをお勧めします。

デメリット1 売却価格が相場よりも安くなる

リーバックでの売却価格は、売主の支払能力や賃料利回り(投資利回り)などから算出します。そのため、通常の不動産売買よりも売却価格が低くなる可能性があります。

一見デメリットでしかないように見えますが、毎月の家賃は売却金額をもとに算出されることが一般的ですので、売却価格が安くなることは、家賃が高額にならずに済むことであるため、一概にデメリットであるとは言い切れない側面もあります。

デメリット2 家賃の支払い

毎月の家賃の支払いが必要になります。家賃の支払いが滞った場合は、自宅から退去しなくてはいけなくなりますので、毎月の支払いができる収入の見込みがなくてはいけません。

特に将来買い戻しを希望される方は、家賃の支払いと並行して自宅を買い戻すための資金も確保する必要があり、それは簡単なことではありません。

しかし、自宅を買い戻したいという希望がある方にとっては、リースバックは有効な手段となります。

デメリット3 いつまでも賃貸で住めるわけではない

リースバックを行い、賃貸で住み続けられる期間は有限です。いつまでも賃貸で住み続けられるわけではないのです。

一般的に賃貸期間は2~3年となります。その間に、買い戻しを希望する方は、買い戻す資金を確保しなければなりません。

当事務所では、賃貸期間を5年~10年の条件にできた事例もございます。可能な限り売主様のご希望を尊重いたします。

任意売却はどこに相談するのがいいのか?リーガル東京のメリット

不動産を売却したいと考えた時には、不動産会社(宅地建物取引業の免許を持つ業者)に依頼するのが、一般的だと思います。

しかし、任意売却の場合は弁護士に依頼するべきです。

任意売却では、金融機関などの抵当権者、差押(仮差押)債権者などを相手に交渉をしなければならないケースが多いのです。特にオーバーローン(不動産を売却した代金では抵当残債務額を全額返済できないこと)の場合、損切り交渉が不可欠です。「損切り交渉」とは、不動産を売却しても残ってしまうローン(抵当債務)の残債務額を減らしてもらうために行う交渉です。

不動産会社では「損切り交渉」が必要な物件は取り扱いません。また、金融機関も不動産会社が「損切り交渉」を行うことを好みません。「損切り交渉」は、法律事務の一つであるため、非弁行為(弁護士法72条違反)が疑われるからだと思われます。

そのため、任意売却であれば、経験豊富な弁護士に依頼した方がいいでしょう。

弁護士法人リーガル東京にご相談いただくメリット

また、弁護士が代表をしている不動産会社(㈱リーガル・プロパティ)がありますので、ワンストップで販売活動まで行えます。

自宅に住み続けたいと希望される方には、セールス&リースバックや親子間売買等などの方法で解決方法をご提案することが可能です。

任意売却・リーバックのご相談は、弁護士法人リーガル東京へ

当事務所では、任意売却やリースバックに関するご相談を多数いただいており、相談者様のご事情やご希望に沿った解決方法をご提案しております。

任意売却のご相談に来られた方であっても、不動産を売却しないで解決できるケースがあれば、その解決方法もご提案いたします。

また、不動産会社にできない損切り交渉も、当事務所なら対応可能です。

ご相談は何回でも無料、住宅の査定も無料となっております。住宅ローンの返済にお困りの方は、ぜひ当事務所にご相談ください。

監修者


氏名(資格)
小林 幸与(税理士・弁護士)

-コメント-
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リースバック~トラブル事例と回避するためのポイント解説~


リースバック(またはセールス&リースバック)とは、いろいろな事情によりマイホーム(所有する戸建や区分マンション)を売却した売主が、マイホームから引越をしないで、買主に賃料を支払い住み続ける内容の契約を言います。

住宅ローンの返済に困り、自宅を売却して返済に充てたいが、ご家族の事情などの理由により自宅からは引っ越したくないという場合などに、利用を検討します。

「そんな都合のいい話があるのか?」「怪しい手法なのではないか?」と考える方もいらっしゃると思いますので、本記事ではリースバックのメリットとデメリット、リースバックのトラブル事例と回避方法について解説します。

1 リースバックのメリット

リースバックの主な特徴やメリットとして、以下の4つが挙げられます。1つずつ解説していきます。

・まとまった資金が得られる

・引越をしなくていい

・住宅ローンの返済が無くなる

・買い戻すことが可能

メリット1 まとまった資金が得られる

マイホームを売却して、多額の資金(売買代金)を取得できます。得た資金を住宅ローンの返済や老後の資金・教育費などに充てることができます。

メリット2 引越をしなくていい

マイホームから引越をしなくて済みます。

マイホームに住み続けられますので、子供は転校の心配がなく、家族の通勤に支障が出ることもありません。

通常の売買に比べ、マイホームを売却したことや売却の事情を、世間に知られるリスクがほとんどありません。

メリット3 住宅ローンの返済が無くなる

マイホームを売却するので、住宅ローン(不動産担保ローンも含む)の返済がなくなります。

但し、売買代金額によっては、住宅ローンが残るケースがありますので、そのような場合は弁護士に相談してください。当事務所では、無料でご相談可能です。

メリット4 買い戻すことが可能

売却したマイホームを、家族名義で買い戻すことができるケースがあります。

将来確実に買い戻したい場合は、リースバック契約に、買戻特約付(または再売買特約付)の契約条件を付加できるケースもあります。

2 リースバックのデメリット

リースバックにはデメリットもあります。

デメリット1 売却金額が相場より安くなる

通常の売買より、代金額が安くなる傾向です。

買主側は、投資物件として購入しますので、将来転売を計画していますし、賃料が回収できないリスクも考慮されますので、売買代金額は低額になるのが一般的です。通常の売却と比べると相場の6割から8割程度の金額になります。

なお、リーガル東京では、投資利回りを重視しつつ、売主の希望を可能な限り考慮するリースバックの契約条件をご提案しております。

デメリット2 家賃の支払いがあり、賃貸期間が有限

賃料の負担があります。また賃貸期間に制限を設けるのが一般的です。賃貸期間を2年から3年に制限するケースが多いようです。

リーガル東京のリースバックは、諸条件を考慮の上、売主の希望で賃貸期間についても最長10年位を設定したケースがあります。

デメリット3 リースバックしたくてもできないこともある

売主がリースバックを希望しても、リースバックを断られることがあります。

売主側の賃料支払いに不安があるケースや、売買代金額よりローン残債務額が上回る(オーバーローン)ケースでは、リースバックを断られることが多いです。

但し、弁護士法人リーガル東京では、オーバーローンのケースでも、債務整理とセットのリースバックをご提案しています。

デメリット4 ローンが組めなくなる

リースバックする事情によっては、売主がカードローンや銀行ローンを組めないケースがあります。

売主が、住宅ローン等の延滞により債務整理する目的でリースバックするケースでは、売主は信用情報がブラックとなり、ローンを組めなくなるのです。

4 リースバックでよくあるトラブルと回避する方法

トラブル事例1 賃料が払えなくなり、マイホームから退去

住宅ローン等の既にある負債の支払いができないため、リースバックの契約をしたケースでは、無理な賃料設定が原因で(あるいはリースバックした後の収入減少が原因で)、家賃が払えなくなるケースがあります。

リースバックの場合、賃料設定を相場より高額にする会社も少なくありません。

一般的には賃料を2ヶ月滞納すると賃貸借契約を解除され、マイホームから退去を求められます。

回避するには【リースバック取引後の賃料支払いが継続できるか確認する】

リースバック取引後の賃料は、買取価格から算出されます。会社や物件により異なりますが、仮に3000万円で買い取ってもらう場合、賃料は月額17万5000円から32万円程度になるのが一般的です。

なお弁護士法人リーガル東京のリースバック相談では、売主に無理な賃料設定の取引条件は提示しませんのでご安心ください。

トラブル事例2 契約更新(または再契約)時に賃料を値上げされる

リースバック取引で賃貸借契約を結ぶ場合、定期借家契約のケースが多いです。

定期借家契約とは、契約更新がない賃貸借契約であり、再契約の合意がないと賃貸期間満了後にマイホームから退去しなければならないのです。

そのことを誤解して当然に契約更新できると思っていたら、再契約を拒否され、「再契約したいなら賃料を値上げする」「再契約の賃貸期間を超短期にする」などのトラブルになることがあります。

また普通賃貸借契約(1年以上の賃貸借期間があり、更新が可能な契約)のケースでも「契約更新時に賃料の値上げはしない」などとの甘言を信じていたら、契約更新時に賃料の値上げをされるケースもあります。

回避するには【契約内容をよく確認し、希望の契約条件を明確すること】

賃貸借契約が更新のない定期借家契約か、更新のある普通の賃貸借契約なのか必ず確認してください。定期借家契約の場合、再契約ができる形が望ましいです。契約期間その他の契約内容も確認しましょう。

トラブル事例3 リースバックの契約期間中に買主に無断転売される

「リースバックの間は勝手に売却しない」と約束していたにもかかわらず、買主(貸主)に勝手に売却されるケースがあります。特に口約束だけの場合がトラブルになります。

なお、買主が第三者に売ったとしても、賃貸借関係は第三者に引き継がれますので、第三者(新買主)に所有者が変更になったという理由で退去を求められることはありません。

回避するには【信頼できる買主・相談先を見つける】

貸主が変更になるのは借主側にとって不安があり、またマイホームの買い戻しを考えるケースもあるでしょうから、マイホームのリースバック契約をするときには、信用できる会社を売主に選びましょう。

トラブル事例4 マイホームの買戻しに応じない・買取り額が高額

リースバック契約をする際に、買い戻せることを口約束だけにしておくと、買主がマイホームの買い戻しに応じなかったとか、売値よりかなり高額な買戻し金額を言われるなどのトラブルが生じたりします。

回避するには【買戻し(再売買)希望の場合には、その条件も検討する】

買戻し(再売買)を希望する場合には、買戻し(再売買)の条件を詳細に決めて契約書面化しておくべきでしょう。

トラブル事例5 買主の不動産会社が倒産した

リースバック契約をしている会社が倒産して、賃貸しているマイホームが競売になり、第三者に落札されて退去しなければならないケースもないわけではありません。

回避するには【信頼できる買主・相談先を見つける】

リースバックでトラブルになるケースは、リースバックの実績が乏しい会社であることが多いです。信頼できる買主や相談できる所を見つけて、安心して相談・交渉できることが、リースバックの成功につながります。

トラブル事例6 買取金額が適正価格を大きく下回った

リースバック売買は、通常の売買より代金額が安くなることが多いです。

買主は投資利回りを重視して買い取るので、代金額が高額になれば、賃料額もその分高くなってしまうからです。

回避するには【自宅をリースバックするときの適正条件を知る】

他の取引条件(賃料や賃貸期間など)との関係を考慮しても納得できないときは、他のリースバックを扱う会社にも相談して、取引条件の比較検討をすべきでしょう。

マイホームを売ろうとする場合、いくらで売るのが適正価格なのか調べるべきです。

もちろん通常の売買価格よりは安くなる傾向ですが、複数のリースバックを扱う会社に条件提示を書面でもらい、リースバック条件(売買代金額・賃料額・賃貸期間など)が売主の希望にできるだけ近い会社を選ぶようにしましょう。

トラブル事例7 契約時に高額な諸費用を請求された

リースバック取引をした際に、測量費用・事務手数料・仲介手数料などの名目で高額な諸費用を請求してくる会社が稀にあります。

回避するには【明細を確認する】

リースバック取引で、売買契約印紙代や抵当権等の登記抹消費用以外に諸費用がかかることはほとんどありません。売主が負担すべき費用の明細を確認するようにしましょう。

トラブル事例8 リースバック契約ができない

リースバック契約を希望したが、契約できないことがあります。

契約できない原因としては、買取金額では住宅ローンの残債を全額返済できないケースや、賃料が高額であったり、賃貸期間が短期間であったりするケースなどがあります。

回避するには【債務整理とセットでのリースバック】

マイホームを売却した代金では、住宅ローンを完済することができない場合は、債務整理とセットでリースバックできるケースもありますので、ご相談ください。

また、賃料や賃貸期間がご希望に沿わない場合は、複数の会社の提示内容を比較し、納得のいくリースバック会社を見つけるようにしてください。

トラブル事例9 修繕費の負担で揉めた

通常の賃貸借契約では、借主の故意過失によらない設備の故障や内装の汚れ等は、貸主の負担とされます。

けれどもリースバック取引の賃貸借契約では、修繕費を借主負担としているケースが多いのです。売主家族が売却後も引き続き借主として居住するので、建物内の設備や内装のチェックが買主(貸主)にできないからです。

回避するには【事前に契約内容を確認する】

建物の修繕費用の負担については、契約前に必ず確認してください。

リースバックを弁護士に相談した方がいい理由

家を売却するとなると、その相談先としてまず不動産会社が思い浮かぶと思いますが、当事務所のようにセールス&リースバックに対応可能な弁護士事務所もあります。

不動産会社ではなく、弁護士事務所のご相談いただいた方が良い理由をご紹介します。

理由1 セールス&リースバック以外の解決方法も提案できる

不動産会社にリースバックを相談すると、リースバックに適さない場合でもリースバックを勧められることがあります。

その点、リースバックに対応可能な弁護士にご相談いただくと、リースバック以外の解決方法を提案することが可能です。

実際に当事務所にご相談いただいた方でも、当初はリースバックを希望されていた方に対して、個人再生手続についてご提案をし、住宅を売却しなくて済んだケースがございます。

理由2 確実に買い戻せる契約内容にできる

将来的に買い戻すことができるのがリースバックのメリットですが、買い戻しを希望しても、不動産会社では買い戻す契約にしてくれないケースがあるようです。

買い戻せる契約にしてくれる不動産会社もありますが、優先的に購入できる程度の内容でしかないこともあります。

当事務所では、売主様が希望される場合、確実に買い戻せる(再売買できる)契約を提示できる買い手をご紹介しております。

当事務所のセールス&リースバックの解決事例は、こちらでご紹介しています。

セールス&リースバックの解決事例

リースバックのご相談は、弁護士法人リーガル東京へ

弁護士法人リーガル東京では、弁護士・税理士・宅地建物取引士の3資格を有する代表が、10年以上からリースバックのご相談に応じています。

当事務所であれば、買戻特約付(または再売買特約付)の契約をご用意できたり、長期の賃貸借が可能な買主様をご紹介できたりするなど、売主様のご希望を可能な限り考慮したリースバックの条件を提示することができます。

弁護士法人リーガル東京の紹介でマイホームをリースバックしたケースでは、5年から8年後に同居の家族がマイホームを買い戻したケースが10件近くございます。

リースバックをご検討されている方は、ぜひ弁護士法人リーガル東京にご相談ください。

ご相談は何回でも無料となっております。

監修者


氏名(資格)
小林 幸与(税理士・弁護士)

-コメント-
弁護士法人リーガル東京は弁護士・税理士などの専門家集団です。当法律事務所に相談依頼するだけで、購入先紹介・売買契約締結交渉・残債務整理・登記手続・税務申告のワンストップサービスを比較的低額の料金でご提供致します。

リースバックとは何?わかりやすく仕組み・メリット・デメリットを解説

リースバックとは

リースバックの仕組み

リースバック(セールス&リースバックの略称)とは、任意売却手続の中で、信頼できる第三者に住宅を売却後、購入した第三者に対して毎月の賃料を支払って、賃貸住宅として居住し続けるというものです。

任意売却とは、住宅ローンや事業用不動産担保ローンが払えなくなり、一括返済を求められたり、不動産競売になったりした場合に、やむなく所有不動産を売却することです。

リースバックでは、住宅を任意売却することで住宅の所有権は第三者に移りますが、賃貸住宅として賃料を払って住み続けることが可能になるのです。

住宅を売却する第三者とは、投資会社や一般投資家などですが、通常のオーナー(賃貸人)と賃借人の違いとして、将来的に住宅を買い戻すことも可能だという点があります。

これは現状の経済状況では賃料の支払いが精一杯でも、将来的に収入や債務の整理により住宅を買い戻せるほどの経済状況になれば(または将来的に同居の家族が買い戻せる収入状況になれば)、再び住宅の所有者になれるというものです。

買戻しの約定は、任意売却する前に契約書によって細かく約定する必要がありますが、買主との間で買戻し条件を約定すれば、現住所に住み続けながら、将来的に住宅を取り戻すことが可能になります。

「リースバック」という方法が出来た背景

住宅ローンは貯蓄の少ない若い方が新居を構えるには非常に便利なシステムではありますが、全ての方が滞り無く住宅ローンを完済出来るという訳ではありません。

収入の変動や雇用リスク(失業や勤務先の倒産)などから住宅ローンを完済できない方も当然出てきます。

デメリットが多い「競売」

住宅に抵当権を持つ債権者が「不動産競売」という手法によって、強制的に債権回収を行うことがあります。

しかし、この不動産競売という方法は債務者には非常にデメリットの多い手法でもあります。不動産競売では、正常な取引価格よりも、かなり割安な価格で落札されることが多いのです。

そのため住宅ローンの残債が多く残るとか、再出発の資金を確保できないなどで、債務者の生活再建が難しくなる現状があります。

時間は掛かるがデメリットが減った「任意売却」

こうした中で不動産競売のデメリットを補いつつ、早期に債権を回収したいという抵当権を持つ債権者にもメリットがある方法として「任意売却」が挙げられます。これは抵当権が設定されている物件であっても、抵当権を持つ債権者の承諾があれば市場取引が可能な方法で、不動産競売よりもはるかに有利な価格で売買が成立しやすいのが特徴です。

しかし、この任意売却には多くの場合、約半年ほどの制限時間が設定されているため、理想通りの展開ができないケースも少なくありません。

住宅は当然大きな買い物なので、中古住宅の場合、立地や築年数など各種の条件によっては、半年の間に買い手が見つからないことも十分起こりえます。

そうなると抵当権を持つ債権者は、不動産競売を粛々と遂行することが多いのですが、裏ワザ的な解決方法がないわけではありません。

難易度は高いが、全てが可能になる-「リースバック」

住宅ローンを支払えないけれども、子供の学校や職場の関係でどうしても今住んでいる住宅を離れることが出来ないというケースも当然存在します。

こうした場合に弁護士など法のプロフェッショナルが推奨していた裏ワザのような手法として、親族や信頼できる知人に任意売却の買い手になってもらうという方法があります。

購入条件が良くない中古住宅でも、親族に購入者がいれば話は別です。一時的に親族に物件を購入してもらい、所有者が移った後も同じ物件に住み続け、余裕を持って親族に返済を行うという方法です。

これらは返済金額や返済期間がかなり緩やかなものになりますが、一つのデメリットとしては全ての人に可能な解決手法ではないという事が考えられます。

任意売却での住宅購入を承諾してくれるほどの経済的に豊かな信頼できる知人や親族がいなければ成立しない方法なので、手法としてはシンプルでも、現実的には難しいケースが多いのです。

しかし、リースバックという方法では極めてこれに近い形を行うことが可能で、任意売却後にも同じ住宅に住み続けることが可能です。

リースバックのメリット

メリット1.売却後も引き続き住宅や店舗を利用できる

住んでいる自宅を売却した場合であっても、引き続き自宅に住み続けられるのが、リースバックの特徴であり、最大のメリットです。引越をする必要がないため、引越し費用もかかりません。

長年暮らしてきた住宅から離れたくない、また一緒に暮らしている家族が変わらず住宅に居続けるようにしたいなどのお気持ちが強い方も多くいらっしゃいます。住宅ではなく経営している店舗不動産(店舗併用住宅を含む)などの売却であれば、引き続き事業を継続したいと考えている方もいるでしょう。

そのような場合にリースバックは、非常にメリットがあります。

メリット2. 1度売却しても買戻しが可能

リースバックは、リースバック終了後に優先権を使い住宅を買い戻すことが可能なのです。つまり1度手放した住宅を再び自分のものにすることが可能なのです。

なお確実に住宅を買い戻したい場合には、リースバックの契約前に買い戻す条件を約定する方が良いでしょう。

人生とは何が起こるかわからず、悪いことがあれば必ずいいことがやってきます。そんな人生の好期となっているときに、再び住宅を買い戻すことができるのは大きなメリットです。

メリット3.知人に購入してもらうことも可能

先にリースバックとは投資会社や個人投資家に不動産を売却して賃料を払い続けるとご説明しましたが、リースバックはそれだけに限らずあなたの信頼できる知人に不動産を売却することが可能です。

投資会社や個人投資とリースバック契約を結んだ場合、それらはまず自分の利益を出すことが大前提となるため、不動産の表面利回りは高い水準に設定されてしまいます。

しかし、信頼できる知人に売却することができれば、低い利回りや低賃料を交渉して設定することができるのでこちらもメリットの1つです。

メリット4.売却したことを周囲に知られない

リースバックでは、物件の売却情報が公開されることはありません。当方が提携する不動産会社が住宅を購入するケースはもちろん、不動産仲介の形で購入してくれる不動産投資家等を非公開で探し、直接取引を行うからです。そのため、近所の方や知り合いの方に売却したことを知られることはありません。

不動産競売の場合、競売の対象物件は新聞やネット上に公開され、入札参加を検討する者が住宅を見に来ますので、周囲に知られるリスクが大きいのです。

リースバックで引越をしないで住み続ければ、不動産登記を見ない限り住宅を売却したことは分からないでしょう。

メリット5. 国都税、住宅ローンの負担がなくなる

リースバックをすると、引越の必要がないため出費を抑え、さらに固定資産税・都市計画税等は第三者(投資会社や投資家)の負担になるため家計の圧迫を和らげてくれます。

これにより、家計の改善を助けてくれることとなります。

リースバックのデメリット

メリットもあれば必ずデメリットもあります。

デメリット1. 通常の売買より売却代金額が低額になる可能性

リースバックは、不動産を第三者に購入してもらい、売却した物件からは引越することなく、賃料を支払って引き続き利用(居住)する解決方法です。

売主の支払能力や賃料利回り(投資利回り)などから売買代金を算出しますので、通常の売買よりも金額が低額になる可能性があります。

もっとも買戻しを考えた場合、売買金額が低額であることは、賃料額が高額になる可能性が少なくなり、将来的に買戻しの金額が高額にならずに済む可能性があります。

デメリット2. 賃料を払う必要がある

任意売却の特殊な解決手法であるリースバックは、住宅を手放した後も住宅に住み続ける事が出来る便利な売却方法とされていますが、当然リースバックでは親族や第三者から住宅を「借りている(リース)」形となりますので、毎月の賃料が発生します。

リースバックされた不動産物件に住み続ける場合の賃料の相場としては、以前は該当不動産物件の不動産評価額の10%が家賃一年分に相当すると言われていました。しかし最近は、リースバック取引を行う業者が増加傾向にあることなどから、賃料の相場は低くなっている傾向にあります。

信頼できる知人への売却が成功すれば賃料交渉をして安くしてもらうことも可能ですが、投資会社や投資家とリースバック契約を結んだ場合、高い賃料を設定されることがあります。

当然賃料交渉にのってくれれば賃料をおさえることができますが、向こうも利益を出すためにやっていることなのでなかなか難しいところです。

しかし当方がお勧めするリースバック取引では、できるかぎり売主に有利な取引条件を提示できるよう努めております。

デメリット3. リースバックには期限がある

リースバックは無期限ではなく終了期限が定められています。

リースバックを行う目的とはあくまでも、「一度は所有している自宅と不動産物件を買い取ってもらい家賃を支払って住み続けるが、いずれは自宅を買い戻す」という目的になります。

この為、一定期間が経過した時には必ずリースバック物件を買い戻すかどうかの決断を行わなくてはなりません。

リースバックを行った場合に買い戻すまでの期間は一般的に不動産物件の売却から2~3年以内と言われています。

しかし当方がお勧めするリースバック取引では、売主の希望をできるだけ尊重しますので、賃貸期間が5年から10年の条件で、リースバックをされた方もいます。

デメリット4. 手放さなければいけない場合がある

先に述べた通りリースバックには終了期限が定められており、その期限後に買い戻し優先権により不動産を買い戻すことが前提で契約が結ばれます。

しかし、この期限がきても資金調達できずに買い戻し不可能な場合、該当の不動産物件は手放す(第三者の手に不動産物件を渡す)事となってしまいます。

不動産物件を手放した場合は当然、そのまま自宅に住み続ける事は出来ませんので自宅を出て行く事となります。

しかし当方がお勧めするリースバック取引では、売主の希望をできるだけ尊重しますので、当初約定した賃貸期間が経過した場合でも、賃料の延滞ない場合には賃貸借の再契約を認めるケースもあります。

任意売却であるリースバックの買戻しでは一般的には不動産物件の売却価格より割増しでの価格で不動産物件を買い戻さなくてはならないケースが多く、家賃を支払い続けながら売却価格の2割から3割増しの資金を貯める事は容易な事ではありません。

また期限終了後の新居が決まっている場合は、買い戻し優先権なしの契約を結ぶこともできます。

ローンの返済以外にリースバックが活用できるケース

ケース1. 相続対策

リースバックには相続対策上のメリットもあります。

例えば高齢の両親所有の住宅がある場合で、当該住宅を将来相続する子供は将来的に住宅に住むことがないと分かっていたり、子供が複数人いたりする場合は、リースバックが活用できます。リースバックを活用し、住宅ではなく換金して現金として残しておいた方が、相続時に相続人間で揉めたり、相続税の納税で困ったりする可能性を低くすることができます。

リースバックであれば、自宅を売却後も住み続けられるため、相続の準備として活用できます。

また老後の資金に乏しい高齢者が、老後資金を確保するために住宅をリースバックすることもできます。

ケース2. 資金調達・資金繰りに有効

不動産リースバックは、資金調達の一手法として積極的に行なわれる場合もあります。まとまった事業資金が必要になのに金融機関から希望する金額の融資を受けられない場合などに、店舗や工場の不動産を売却して現金化したり、純資産利益率の向上を図る経営戦略に活用したりすることでリースバックには資金繰り効果があります。

このように不動産リースバックによって資金調達が可能となります。まず、所有している不動産を第三者の協力者に売却することで資金の調達と同時に不動産を現状のまま利用するリース契約を締結します。そして、契約に基づいて賃料を払うことでこれまで通りに不動産が使用できます。

リバースモーゲージとの違い

「リバースモーゲージ」とは、所有する不動産(主に自宅)を担保にして金融機関や自治体などから融資を受け、所有者が亡くなった時に自宅を売却して借入金を一括返済する方法です。

第三者に不動産を売却し、賃料を支払って住み続けられる「リースバック」とは、以下の点で違いがあります。

リースバック リバースモーゲージ
所有者 変更する 生存中は変更なし
資金の使い道 自由 制限される場合がある
年齢制限 なし あり(65歳以上など)
対象物件 制限なし(自宅、事務所、工場など可) 原則一戸建住宅
買い戻し 買い戻す条件を付けることが可能 買い戻し不可

リースバックに関するよくある質問

解決事例はこちらでご紹介しています。
解決事例

強い意志と資金力がリースバックには不可欠

自己破産をしても住み慣れた住宅にそのまま住み続ける事が出来るリースバックにはメリットが多いように思われがちですが、デメリットも多数存在しています。

任意売却であるリースバックを行う場合には、家賃を支払い続けながら期間内に自宅を再び買い戻す資金を貯める必要があり(または家族名義で買い戻す資金を融資してくれる金融機関を探す必要があり)、容易な事ではありません。

しかし、再び自宅を買い戻すという強い意志と資金調達力があればリースバックは有効な手段となるケースもあります。

弁護士法人リーガル東京では、宅地建物取引士の資格も有する経験豊富な弁護士がリースバックのご相談を承っております。ご相談は何回でも無料です。

他のリースバック相談所は、住宅の売却が前提の解決方法しか提案してくれませんが、当方は違います。当方は、住宅を売却しなくても借金問題を解決できるケースであれば、住宅を売却しない解決方法をご提案します。

住宅を売買するかどうかに関わらず、最適な解決方法を検討する目的で、住宅の査定も無料で行っておりますので、ぜひご相談ください。

監修者


氏名(資格)
小林 幸与(税理士・弁護士)

-コメント-
弁護士法人リーガル東京は弁護士・税理士などの専門家集団です。当法律事務所に相談依頼するだけで、購入先紹介・売買契約締結交渉・残債務整理・登記手続・税務申告のワンストップサービスを比較的低額の料金でご提供致します。

住宅ローンが残る家の売却、一括返済できない場合の解決法【任意売却】

住宅ローンを完済できない場合でも売却はできる?

通常は全額返済し、抵当権の抹消が必要

通常の売買では、不動産を売却した時に住宅ローン残債全額を返済します。これは住宅に設定された抵当権を抹消するためです。抵当権とは、住宅ローンを組む時に購入した住宅(土地建物)に設定される担保権のことです。

住宅ローンの返済が滞ると、債権者である金融機関等は、住宅の所有者である債務者に返済を督促します。住宅ローン滞納が多額になると、金融機関は保証会社などに代位弁済して、抵当権が保証会社などに移転します。そうなると、住宅ローン残債の返済方法について抵当権の譲受債権者から、住宅売却による一括返済を求められ、さらには住宅の売却がうまくいかないと、住宅が競売にかけられます。そして売却代金(または競落代金)で住宅ローン残債を回収するのです。

自己資金で不足する残債額を準備できれば問題ない

所有している住宅が住宅ローンの残債金額以上の金額で売却できるのであれば、住宅ローンを一括で返済できるため全く問題ありません。また、住宅の売却代金が住宅ローンの残債金額に満たない場合でも、不足する残債額を自己資金などで準備できれば、売却することが可能になります。けれども、不足額について自己資金を準備できなければ、住宅を売却することは、不可能となってしまいます。抵当権を持つ金融機関は、住宅ローン残債務額を完済しないと抵当権登記の抹消に応じないからです。

住宅の売買代金額が住宅ローン残債務額を下回る場合(いわゆるオーバーローン)でも、不動産を売却する方法は残されています。

このように住宅ローンを滞納して一括返済を求められた債務者が、自己所有の住宅を売却することを、「任意売却」といいます。

住宅ローンの一括返済を求められた場合の解決法【任意売却】

任意売却とは

任意売却は、住宅ローンの支払いができなくなってしまったときに、住宅を売却することで住宅ローン債務の負担をなくす(または大幅に減らす)方法です。

任意売却は、いわゆるオーバーローン不動産の場合に、多く行われます。

オーバーローンとは、所有している不動産を取得した際の借入金の残高が、その不動産の価格を超えていることを言います。つまり、その物件を売却しても住宅ローン債務が残る状態のことです。

任意売却の流れと注意点

任意売却にはさまざまなケースがあり、個々の状況によってその流れや期間は異なりますが、当方相談センターにおける手続の流れを理解していただきたいので、基本的な任意売却の流れを説明していきます。

詳しくはこちらのページで解説していますので、ご覧ください。不動産のリースバック・任意売却の無料相談室「相談から解決までの流れ」

任意売却は、次の8つのステップを経て成立します。ここでは、各ステップでの注意点を中心に説明していきます。

1.住宅ローンの滞納
2.弁護士に相談
3.ヒアリング
4.物件の査定
5.債権者との交渉
6.売却活動
7.引越し準備
8.任意売却成立

1.住宅ローンの滞納

住宅ローンを数ヶ月も滞納すると金融機関などの債権者から、督促の電話やはがきが届くようになります。融資を受けた金融機関にリスケ(返済期間や返済月額の見直し)をお願いできるケースもあります。しかし何の対策も講じないまま、住宅ローンの滞納を続けると、「期限の利益の喪失の通知書」「代位弁済通知書」などが届きます。

督促状が届くのは滞納から3か月ほど経ったころ、「期限の利益の喪失の通知書」などの通知書が届くのは滞納から半年ほど経ったころが一般的です。

2.弁護士に相談

住宅を売却して住宅ローンの返済をしようと相談するのは、不動産業者や任意売却専門業者が多いと思います。その場合、必ず提携している弁護士に直接相談できることを確かめてから、電話やメール、訪問による相談をするようにしてください。場合によっては、弁護士が依頼者を訪問して面談してくれることもあるようです。

最初の相談が弁護士でなくてはいけない理由は、弁護士であれば任意売却以外の解決策を提案することが可能だからです。

なお当方に相談される場合、税理士と宅地建物取引士の資格も有する経験豊富な弁護士が、無料にて相談対応いたします。

3.ヒアリング

相談に来られた方から、債務状況・財産収入状況・生活状況などを、お聞きします。

弁護士には守秘義務がありますので、全てを包み隠さずお話しくださいお伺いした事情を総合的に判断して、最も良い解決方法を弁護士が判断します。場合によっては、任意売却以外の方法(個人民事再生など)を、お勧めすることもあります。

任意売却以外の解決策は、弁護士でなければ手続できないことが多いです。

当方に相談される場合、宅地建物取引士の資格も有する経験豊富な弁護士が、無料にて最適な解決策をアドバイスいたします。

なお任意売却ばかり勧めてくる業者もいますので注意してください。

4.物件の査定

提携する不動産会社が物件の査定を無料で行います。適正な価格でなければ、購入希望者が現れなかったり、抵当権を持つ金融機関などが担保解除に応じなかったりすることがあります。

したがって適切な価格で先ず査定し、最終的な売買価格は、売主の意向だけでなく抵当権者との協議で決めることもあります。

5.債権者との交渉

住宅に2番抵当権が設定されていたり、税金未納で滞納処分がされていたりするなど、債権者が複数いる場合、住宅に何らかの登記をつけた全ての債権者が同意しなければ任意売却の決済をすることはできません。

6.売却活動

依頼者の希望(いわゆるオーバーローンの不動産では抵当権者などの意見も)を伺い、売却活動を行っていきます。

仕事や家族の事情で自宅から引越したくない場合には、「セール&リースバック」という方法もあります。「セール&リースバック」とは、住宅を購入した買主に賃料を支払って売却後も住宅に住み続ける方法です。

弁護士から「セール&リースバック」の提案が無い場合は、相談してみてください。

7.引越し準備

引越しには敷金・礼金などの費用がかかります。任意売却では10万円~30万円くらいの引越し費用を確保することが可能なケースもあるのですが、全てのケースで確保できるわけではありません。

任意売却のデメリット

任意売却にはデメリットも存在します。

1.交渉に時間と手間がかかる

任意売却の場合は、債権者(抵当権を持つ金融機関など)、購入希望者との交渉が必要となり、時間と手間がかかります。

オーバーローンのケースでは、債権者は損切額が大きいと任意売却を認めない場合も多く、不動産競売によって債権回収を図ることも少なくありません。まずは、債権者に任意売却を認めてもらうところから交渉をスタートしなければなりません。

また、購入希望者と直接交渉が出来るのは任意売却の大きなメリットではありますが、売買条件が折り合わない場合には何人もの購入希望者と交渉しなければなりません。

2.時間的な余裕がない

一般的な不動産売却と異なり、住宅ローンを滞納したことで住宅を売却するケースでは、ほとんどの場合が時間的に切迫している状態です。

任意売却で抵当権などを持つ債権者との交渉に時間がかかってしまった場合、不動産競売にならざるを得ない状況になってしまうケースがあります。

3.任意売却業者選びに左右されてしまう

任意売却は時間との勝負です。住宅ローンを滞納したことで住宅を売却するため、時間切れで不動産競売になってしまうこともあるためです。

任意売却業者が円滑に進めてくれればいいのですが、中には、悪意を持って対応する業者がいるのも事実です。気がつけば手数料ばかりがかかり、結局競売になってしまったら目も当てられません。ですから、時間をかけずに良い任意売却業者を選ぶ必要があります。

当方が提携する不動産会社は、弁護士資格を有する会社代表が責任対応しますので、安心してお任せください。

4.ローンが組めなくなる可能性

任意売却では、住宅ローン(不動産担保ローン)を滞納した状態で物件を売却することになります。そのような状況下では、信用が棄損しているので、売却後に新たなローンを組むことができなくなる可能性があります。

任意売却にかかる費用

任意売却において、売主が負担する費用は売却代金から支出されるのが一般的です。

通常、売却代金から支出される費用は次のとおりです。

①不動産仲介手数料

仲介手数料は、一般的に「売却代金の3%+6万円+消費税」です。

例えば、売却代金が5000万円だった場合、仲介手数料は163万8000円となります。

もっとも弁護士法人リーガル東京が提携する不動産会社が購入するケースでは、仲介手数料はかかりません。

②抵当権登記抹消費用・司法書士費用

抹消する登記の数で費用が異なりますが、通常3万円から5万円程度です。

③契約印紙代

売却金額で異なりますが、金額が1000万円を超え5000万円以下である場合は、2万円です。但し

④固定資産税・都市計画税精算金

物件引渡の日(代金決済日)を基準に日割りで精算されるのが、一般的です。

⑤引越費用

引越し費用を売却代金から支出してもらえることが多いです。

⑥その他の費用

破産管財人が売却する場合は「破産財団組入額」も売却代金から差し引かれます。

売却する物件が賃貸アパート等の収益物件である場合は、敷金返還請求権を買主が引き継ぐので、「預かり敷金」も売却代金から差し引かれます。

区分所有マンションを売却した場合は、滞納している管理費や修繕積立金も買主が引き継ぐので、これらも売却代金から精算されます。

任意売却をしてもローンが残ってしまう場合

任意売却が成立したら、それで終了ということではありません。住宅を売却した金額では返済できなかった債務(住宅ローン残債など)については、変わらず返済する義務があります。

任意売却しても債務が残った場合、その残った金額により処理方法が異なります。

売主の収入などの状況から、3年ほど分割返済をして完済できる程度の金額である場合は、債権者と交渉し分割で返済していくことが可能です。

しかし、数百万円以上さらには1千万円以上の債務が残るケースも少なくありません。その場合は、弁護士に債務整理(個人再生・自己破産など)を依頼する必要があります。

任意売却のご相談は、弁護士法人リーガル東京へ

不動産の売却は、不動産会社に相談するイメージをお持ちの方もいると思いますが、特に住宅ローンの返済に困っている場合は、まずは弁護士へご相談ください。経験豊富な弁護士であれば、すぐに任意売却の提案をしないで、任意売却以外の方法での解決策の提案も可能になります。

任意売却をご検討の方や住宅ローン滞納で悩んでいる方は、ぜひ弁護士法人リーガル東京にご相談ください。経験豊富な弁護士が、何回でも無料で、お話をお伺いします。

監修者


氏名(資格)
小林 幸与(税理士・弁護士)

-コメント-
弁護士法人リーガル東京は弁護士・税理士などの専門家集団です。当法律事務所に相談依頼するだけで、購入先紹介・売買契約締結交渉・残債務整理・登記手続・税務申告のワンストップサービスを比較的低額の料金でご提供致します。

【離婚時の任意売却】メリット・デメリット・売却タイミングを解説

「離婚したら、夫や妻の名義で返済していた住宅ローンはどうすればいい?」
「離婚時の財産分与で、高額の残債が残っている住まいの処分に悩んでいる」
このようなお悩みを抱えていませんか。離婚時には養育費などのお金の問題を解決する必要があります。

多くの夫婦は生活を共にするために、住宅ローンを組んで融資を受け、住まいを購入しています。借主(借主(契約者)と連帯保証人になっているローンもあれば、ペアローンで共同購入している方もいるでしょう。

では、離婚時に住宅ローンの残債が残っている場合は、一体どのように対処すれば良いでしょうか。離婚後に元夫婦間でお金のトラブルが再燃しないように、住まいを売却して処分することが理想ですが、ローンの残債がある場合には簡単に処分できません。

そこで、この記事では、離婚時の「任意売却」について、メリット・デメリットを詳しく解説します。任意売却なら、残債があり抵当権もある住まいの売却が可能です。売却のタイミングについても解説しますので、ぜひご一読ください。

任意売却のメリット・デメリット

離婚時には財産分与を行うことがあります。財産分与とは、夫婦で大切に築いてきた財産を、それぞれの貢献度などに応じて分配する仕組みを指します。預貯金口座や、株式などが分配対象に該当しますが、大切な住まいについても含まれます。住まいは離婚時に住宅ローンの残債があるケースも多く、夫婦ともに早期処分したいと考える方も多いでしょう。そんな時は、任意売却を選択することが考えられます。

では、任意売却を行うこと自体のメリット・デメリットとはどのようなものでしょうか。

メリット1 競売より高く売れる可能性がある

任意売却は、競売よりも高く住まいを売却できる可能性が高いでしょう。本来は離婚時に住宅ローンの完済を行うことが理想ですが、売却額より多くの残債がある場合には売却が難航します。

しかし、売却や返済ができなくなったまま放置を続けたら、競売にかかる可能性が高いです。競売を回避する選択肢の一つとして、任意売却があります。任意売却は競売よりも市場価格に近い状態で売却できるため、残債務をより多く減らすことができます。

メリット2 周囲に知られにくい

競売は、周囲の人に知られてしまう可能性が高い手続きです。競売にかけられると裁判所が競売物件の情報を公開します。そのため、不動産関係者の多くは競売にかけられた物件を把握しています。加えて、執行官(裁判所の職員)の来訪や、購入を希望する不動産会社が現地調査を行うことも多いのです。

任意売却は裁判所が情報を公開する手続きではないため、周囲の人に知られにくく、離婚やローンの返済に困っていることも知られません。

メリット3 オーバーローンでも売却できる

オーバーローン(※1)の場合、通常の不動産売買の方法では住まいの売却はできません。なぜなら、融資をした金融機関が損切りを認めないためです。しかし、任意売却という方法をとれる状態になれば、オーバーローンでも売却可能です。任意売却は抵当権を解除し売却する方法で、残債が残るとわかっていても売却できます。

(※1)オーバーローンとは
任意売却後、売却代金はローンの残債に充当しますが、その後も返済すべき債務が残ることをオーバーローンと言います。残債が残らず完済できる場合はアンダーローンと言います。

デメリット1 信用情報に傷がつく

任意売却は住宅ローンの返済ができなかった人が行う手続きです。そのため、任意売却をする人は信用情報に記録されています。

信用情報に傷がついた状態になると、新たにクレジットカードが作れなくなったり、ローンの審査が通過しなくなったりと、生活に影響が及びます。

デメリット2 債権者などとの交渉が必要

任意売却はどんなケースでも行えるとは限りません。上手く交渉を進めないと債権者側である金融機関や保証会社、サービサーが、任意売却を許可してくれないことも想定されます。

任意売却を成功させるためには、債権者などとの交渉で許可を得る必要があるのです。

デメリット3 売れない可能性もある

任意売却は住まいの買い手が見つからなければ成立しません。不人気エリアの物件や、予算が高すぎるなど、買い手にとっての魅力が無ければ売買が難航し、最終的に競売に至る可能性があります。

離婚時の任意売却のメリット・デメリット

離婚時に住宅ローンの残債がある住まいをどう処分すべきか悩んだら、任意売却をすることも解決方法の1つです。しかし、一般的な任意売却とは異なり、夫婦が別の人生を歩む大きな決断をともなう以上、慎重に判断する必要があります。

そこで、この章では離婚時の任意売却のメリット・デメリットを紹介します。

メリット1 換金すると平等に分配できる

任意売却を離婚前に行っておくと、財産分与の協議が行いやすくなります。物件を2つに割ることはできませんが、現金化できていたらスムーズに解決できるからです。

アンダーローンで売却利益が残る場合、住まいの悩みも解決でき、売却利益も平等に分配できます。

メリット2 連帯債務者・連帯保証人から解放される

一般的に住宅ローンは、以下の方法で契約するケースが多いでしょう
・夫婦のいずれかが主債務者、もう一方は連帯債務者
・夫婦のいずれかが主債務者、もう一方は連帯保証人
・ペアローンで夫婦双方が連帯保証人

このようなケースでは、離婚後も連帯保証・連帯債務の関係が継続します。離婚して夫婦関係を解消しても、完済していなければ返済義務は残ります。任意売却で完済できる場合は、スッキリと返済を終えられ、連帯債務者・連帯保証人という重責から解放されます。ただし、残債がある場合は返済義務が残されるため注意が必要です。

連帯保証人への影響については、こちらの記事で詳しく解説しています。
「任意売却時の連帯保証人への影響|自己破産した場合も解説」

デメリット1 夫婦2人の承諾が必要

任意売却において夫婦がともに連帯債務(共有名義)の関係になっている場合、双方の同意の上で任意売却を行う必要があります。また、夫婦は同居していますので、他方の同意が得られない場合、売却が困難になる場合があります。
つまり、債権者の同意も、夫婦双方の同意も必要となり、通常の任意売却よりも複雑な手続きが必要です。

夫婦のいずれかが拒否してしまったら、任意売却を進めることができません。

どんな場合に任意売却した方がいいか?

離婚時の任意売却にはデメリットもある以上、手続きをすべきか慎重に判断する必要があります。では、どのようなケースの場合には、任意売却を検討すべきでしょうか。

ケース1 残債の返済が困難

離婚後は、夫婦がともに協力して返済していた関係が終了し、別々の家計を営んでいく必要があります。離婚後は家計が大きく傾き、返済不能に陥る方も少なくありません。実際に返済ができなくなり、自己破産に至るケースもあります。

残債の返済が困難と思われる場合は、離婚前に任意売却を行い、残債は分割で返済できるように交渉まで完了しておくことがおすすめです。

ケース2 連帯保証人を外したい

住宅ローンの借入時に夫婦のいずれかが連帯保証人となっている場合、任意売却後の残債についても連帯保証人は変わらず支払いの義務を負うことになります。また、債務者が返済できなくなった場合には、連帯保証人が債務者に代わり返済を行う必要が生じます。

任意売却を行い、少額の残債になれば返済のめどがつきやすくなります。連帯保証人を早く外したい、トラブルを回避したい場合には、離婚前の任意売却を検討しましょう。

離婚時に任意売却しない場合の注意点

もしも離婚時に、任意売却をしなかったらどうなるでしょうか。任意売却をせずに住まいを残す場合、以下のようなトラブルが起きやすくなります。

注意点1 返済トラブルが起きやすい

離婚後は引っ越しや転職、養育費の支払いなど、今までの生活とは一変します。お金の工面に苦労する方も多く、離婚後の初期は順調に返済していた債務者も、返済困難に陥るケースが少なくありません。

滞納が発生すると元パートナーの所へ金融機関や保証会社から督促が行われます。返済トラブルが起きやすくなるため、任意売却をせずに返済を続ける場合は注意が必要です。

注意点2 任意売却が目指しにくくなる

離婚後に返済に困り、「やはり任意売却をしたい」と思っても、別れた夫婦間で再度任意売却の協議を行うことは困難となるケースもあります。
別れたパートナーとの縁を絶つために連絡が取れなくなる場合も多く、離婚前よりも任意売却が目指しにくくなります。

離婚時に任意売却するタイミング

離婚時に残債のある住まいを任意売却するなら、いつがベストタイミングでしょうか。

ベストタイミングは「離婚前」

離婚時にはさまざまな協議を行います。養育費や財産分与など、お金の問題を話し合うことも多く、任意売却についても話し合う機会が持てるでしょう。任意売却をすればその後の競売のリスクも無くなり、円満な解決につながりやすくなります。夫婦が共倒れになるリスクも減るため、前向きに生活再建が目指せるでしょう。

適切な時期に売却ができれば住宅ローンが完済できるケースであっても、夫婦間の関係が悪化すれば、売却時期に遅れが生じることもあるでしょう。そうなると、残債が生じ、かつ延滞金が加算され、破産するケースになる可能性があります。任意売却は夫婦ともに承諾しないと進められない手続きですが、タイミングも重要であると認識しましょう。

離婚に伴う住まいの処分は多い?

住まいを所有している夫婦が離婚する場合、住まいの処分を検討する人は多いのでしょうか。夫婦のどちらも引き続き住まない場合は処分するケースが多くなっています。特に夫婦のいずれか一人だけでは、今後の返済が苦しくなることが予想される場合は、任意売却を検討します。

まとめ

離婚時には住宅ローンの残債のある住まいをどう扱うべきか、頭を抱えてしまうことがあります。しかし、任意売却を進めることで、離婚時であっても円満な解決を目指すことが可能です。

離婚にともなう任意売却は、財産分与などの視点も踏まえる必要があり、実績豊富な弁護士に相談することがおすすめです。詳しくは弁護士法人リーガル東京にご相談ください。

監修者


氏名(資格)
小林 幸与(税理士・弁護士)

-コメント-
弁護士法人リーガル東京は弁護士・税理士などの専門家集団です。当法律事務所に相談依頼するだけで、購入先紹介・売買契約締結交渉・残債務整理・登記手続・税務申告のワンストップサービスを比較的低額の料金でご提供致します。

住宅ローンが払えなくなった時の手段、「競売」と「任意売却」

住宅ローンを組んでマイホームを購入し、さあこれから楽しい生活だと思っていても、不景気なご時世ですから、いきなり会社が倒産、なんていうこともありえる話です。
そういうとき、住宅ローンが残っている場合は家を売却してでも支払いにあてなければなりません。

「競売」(けいばい)とは

住宅ローンを組んで住宅を購入した場合、ローンの返済が完了するまで購入した住宅は住宅ローン会社の担保となっています。
所有者の住宅ローン返済が滞ると住宅ローン会社が裁判所へ申立てを行い、裁判所主導で売却を進める手続のことを「競売」と言います。
住宅の所有者へ売却の意思確認せずに、強制的に売却(競売)が行われます。

「任意売却」(にんいばいきゃく)とは

住宅の所有者が住宅ローン会社の同意を得た上で、住宅の所有者・不動産業者の主導で売却する手続です。

「競売」と「任意売却」のメリット・デメリットは?

「競売」(けいばい)のメリット

① 裁判所主導で手続きが進むため、面倒な交渉が不要

任意売却は、銀行などの抵当債権者、家の購入希望者、連帯保証人など、いろいろな人との交渉が必要です。そのために任意売却専門の業者に頼んだとしても、必ずうまくいくわけではなく、これからの新生活を考えつつ、いろいろな交渉をしていかなければならないということがあります。

その点、競売を選ぶと、そうしたことを別になにもしなくてもいいというメリットはあります。銀行やなんやかんやという指示をすべて無視していれば、競売が進み、終わり、新しいオーナーがやってくるわけです。その間、新生活に向けて仕事をして、借金返済のためにお金を用意しておけばいいという考え方です。

② 競売が終わるまで(半年~一年くらい)住宅に住むことが出来る

競売が終わるまでには、少なくとも半年、長ければ一年近くかかるということもあり、その間はずっと家に住み続けられるというメリットもあります。

③ 自己破産する予定であれば、競売が終わるのを待って、自己破産をすれば、ゼロからのスタートができる

競売後に住宅ローンが完済できずに残債が残りどうしても返済できない場合は、自己破産を検討することになります。
自己破産すると、住宅ローン残債は免責となり返済義務がなくなります。

しかし、連帯保証人がいる状態で自己破産をしてしまうと連帯保証人に返済義務が移りますので注意が必要です。

「競売」(けいばい)のデメリット

① 売却金額が安くなる

早期に物件の売買を行うという性質上、売却価格が市場価格の5~7割程度になると言われています。
金融機関が少しでも早く物件を現金化したいという思惑のためで、競売物件の購入者もそれを見越して割安な物件を探しに来ているので、必然的に決定価格は市場価格よりもかなり安い値段になりやすいのです。

② 住宅ローンの滞納が近所や周囲の人間にバレる可能性がある

競売という性質上一人でも多くの方に告知する必要があるためで、裁判所の掲示板やホームページなどでその情報が開示されます。そのため住所がわかっている相手には自分の住宅ローン滞納がバレてしまうので、人間関係の面でもデメリットになります。

③ 連帯保証人がいる場合、迷惑が掛かる

「任意売却」(にんいばいきゃく)のメリット

① 売却金額が一般的な売却と同等レベルになる

銀行など債権者と、お金を借りた債務者の間に交渉の専門家に入ってもらうことにより、市場価格に近い売却額で物件を売ることができます。
またそれ以外にも金銭的なメリットがあります。たとえば不動産業者への仲介手数料です。これは売買代金から支払われます。

マンションの場合、滞納していた管理費なども同様に売買代金から支払ってもらえますし、住宅に税金滞納処分の差押さえがある時はこれら税金固定資産税や住民税を支払ってもらうこともできます。

② 売却後、新しい家の持ち主との交渉もできる

新しい家主になった人との交渉次第では、あと数ヶ月で子どもが学校を卒業するから、などの事情を聞いてもらう交渉をする余地があるという点も良いところです。家主が、すぐに住むつもりではないという場合などは、一定の家賃を支払うことで続けて一定期間住まわせてもらうなど、物件を売却した後はすぐ引っ越ししなければならない、と決まっているわけでなく、いろいろな点で自由に交渉できます。

② すぐに売れる可能性がある

支払いを延滞しているので、条件次第では早く売れる可能性がある。

③ 近所の人や会社の同僚などにバレにくい

秘密裏に物件を手放すことが出来るという点です。競売の場合にはその性質上不特定多数の方々が閲覧可能な場所で公示がなされます。そうなると近隣の方や場合によっては身内や友人など多くの方に競売の事実が知れ渡ることになります。しかし、任意売却ではあくまで個人と個人の取引なので、不動産関係者を介した極めて非公開的なやり取りで売買を完結させる事ができます。

通常の売却にしか見えませんから、単なる引っ越しに見えるでしょう。

「任意売却」(にんいばいきゃく)のデメリット

① 交渉などの手間が掛かる

任意売却の場合は銀行など債権者とのお金の交渉、購入希望者との交渉、内覧、といったこともしなければなりません。他にも保証人にも話を伝えて交渉しなければならないなど、時間と手間がかかります。
自ら交渉して市場で物件を売り渡す事が出来る方法ですが、成功させるにはいくつかのポイントがあります。まず重要なのが売却までの期間です。通常に家を売るケースと違い、債務超過で手放す際にはほとんどが時間的に切迫している状態です。

そんな中では債権者が時間のかかる任意売却を認めない場合も多く、比較的早く物件を返済に当てられる競売などを求められるケースがあります。第一のポイントはそもそも債権者に認めてもらうところからスタートしなければなりません。次に重要なのが手続きの負担を考慮することです。購入希望者と直接交渉が出来るのは任意売却の大きなメリットですが、折り合わない場合には何人もの購入希望者の対応をしなければなりません。

住宅ローンを滞納して金融機関から「督促状」や「催促状」が届いたらすべきこと

② 時間的な余裕がない

任意売却で時間が掛かってしまった場合、競売せざるを得ない状況になってしまう可能性があります。

③ 任意売却業者選びに左右されてしまう

任意売却業者がうまくやってくれればいいのですが、うまくやってくれない場合は、時間切れで競売になってしまうこともあります。ですから早く動かなければなりません。ですが任意売却なんて一生に一度あるかないかというものですから、任意売却業者探しに基準すら持つことができずに進めることが多くなります。

しかし、どこの業者でもあっても、広告には経験豊富、多数の実績、と書くに決まっていますから、よくわかりません。単にレベルの低い業者ならまだましですが、悪意を持って、より多く債務者から財産をしぼり取ろうとする業者があるというのも実情です。気づけば、手数料ばかりとられて、結局競売にかけられることになってしまったら目も当てられません。ですから、任意売却業者に任せておけばいいだろうという安易な考えではまずいので、時間をかけずに良い業者を選ぶということが求められます。

業者選びに迷ったときは、リーガル東京に相談してください。

【弁護士監修】個人再生とは?デメリットと流れ、認可・不認可となるケースは?

個人再生法について

任意売却を考える際に、任意売却と個人再生のどちらを選ぶべきなのかと迷う方は少なくありません。
任意売却をすると自宅を失ってしまうことが多く、任意売却したとしても残債があれば、自己破産や個人再生へと進むケースもあります。それならば、任意売却をせずに個人再生をすれば、任意売却のように自宅を失うことはないし、債務を大幅に圧縮できるのだから任意売却よりも個人再生の方がよいのではないかと思うかもしれません。
任意売却よりも個人再生の方がいいのでしょうか。

個人再生法とは、民事再生法の規定に従って、債務者の返済負担の圧縮と返済計画の立案とを支援する手続きのことをいいます。個人再生法という法律があるのではなく、民事再生法13章「小規模個人再生及び給与所得者等再生に関する特則」で規定されている特則ということになります。
この民事再生法第13章第1節第221条にこうあります。

「個人である債務者のうち、将来において継続的に又は反復して収入を得る見込みがあり、かつ、再生債権の総額(住宅資金貸付債権の額、別除権の行使によって弁済を受けることができると見込まれる再生債権の額及び再生手続開始前の罰金等の額を除く。)が五千万円を超えないものは、この節に規定する特則の適用を受ける再生手続(以下「小規模個人再生」という。)を行うことを求めることができる。」

簡単に言ってしまうと、収人がある人で、住宅ローン以外の債務が5,000万円以下であれば、個人再生手続きをすることができるということになります。
個人再生のメリットを簡単にまとめますと、裁判所により15000万円以下の債務なら5分の1に減額してもらうことができ、それを原則3年で完済することを約束します。
任意売却や自己破産とは違い、一定の条件を満たせば、自宅や車などを失うことはありません。

個人再生手続きが開始されれば、債権者は、給料差押えなどの強制執行ができなくなります。
自己破産の場合、借金をした理由がパチンコや競馬のようなギャンブルであったり、ブランド品を大量に購入したなどであると自己破産が認められないこともありますが、個人再生の場合は、借金の理由を問われることはありません。

また、自己破産の場合、一定期間、就くことのできない職業などの制限があります。たとえば、株式会社の取締役、保険代理店、警備員、税理士、弁護士などがそうなのですが、個人再生の場合はこのような資格制限がありません。

個人再生は2種類

個人再生は、さきほどの条文にありました「小規模個人再生」と「給与所得者等再生」の2つに分かれています。

小規模個人再生とは

小規模個人再生とは、主に自営業者や一次産業者などを対象にしていて、給与所得者等再生とは、自営業者以外の会社員などを対象にしています。
小規模個人再生の特徴は、債権者の過半数が再生計画に反対しなければ、最低弁済額だけを支払えばいいという点です。

給与所得者等再生とは

給与所得者等再生の特徴は、再生計画について債権者は異議申立てができないということと、支払う金額が最低弁済額か可処分所得の2年分のどちらか多い方という点です。
そして、自営業者等は、必ず小規模個人再生を選択することになるのですが、会社員等は、どちらを選択してもよいということになっています。
最低弁済額とは、住宅ローンを除いた5,000万円以下の債務額に金額によって基準額が規定されています。

最低弁済基準額

個人再生をした人が最低限支払わなければいけない金額です。

最低弁済基準額は、住宅ローン残債を除外した借金総額(基準債権総額)から計算が可能です。

住宅ローン残債を除外した借金総額(基準債権総額) 最低弁済基準額
100万円未満 債務全額
100万円以上500万円未満 100万円
500万円以上1500万円未満 債務額の5分の1
1500万円以上3000万円未満 300万円
3000万円以上5000万円以下 債務額の10分の1

個人再生では、一定の条件を満たせば、住宅を残すことができますが、この場合、住宅ローンの減額は一切認められず、個人再生中であっても、毎月の支払額の変更が出来ても出来ても、約定の支払い総額を変更することは出来ません。

個人再生の流れ

個人再生手続きの流れについてご説明いたします。
なお、裁判所によって手続きの流れが異なる場合もありますので、ご注意ください。
個人再生を申し立てる人は、これらの手続きを自分の努力により、かつ裁判所が定めた機関内に行うことが必要です。それができなければ、手続きが終了してしまうこともあります。

1.弁護士による個人再生の無料相談

個人再生に限らず、任意売却などに関しても、弁護士等による無料相談が行なわれています。電話やメールなどで相談し、その後、直接面談を行ない、詳しい内容をご相談いただきます。

2.個人再生の受任

相談の結果、個人再生を弁護士に依頼するということになれば、弁護士との間に委任契約を結び、正式に受任となります。
裁判所によっては、個人再生の申立ては原則として弁護士を代理人として想定していることもありますし、裁判所に納める手続費用も、代理人弁護士がいる場合といない場合とで、差がある裁判所もあります。

3.受任通知発送・取引履歴の開示請求

委任契約後、すみやかに債権者に対して受任通知(介入通知)を送付します。これにより債権者からの直接の取り立てが停止されます。
同時に、債権の金額や内容などの届け出を請求し、貸金業者には取引履歴の開示請求を行ないます。

4.債権調査・引き直し計算

債権者からの債権届をもとに債権調査を行ないます。
貸金業者が開示した取引履歴をもとに引き直し計算を行ない、利息制限法に則った債務額を算出します。過払い請求を行なう場合もあります。

5.申立書の作成

債権調査や引き直し計算により、個人再生手続きを行なうことになれば、申立書を作成します。申立書、陳述書、債権者一覧表などを作成し、源泉徴収票、給与明細、財産目録、住民票などを添付する場合もあります。

6.個人再生の申立て

住所地を管轄する地方裁判所に申立書を提出し、個人再生の申立てを行ないます。

7.審尋手続

裁判官による審尋(面接)が行なわれます。個人再生委員による面接だけの場合があります。

8.開始決定

審尋の内容に問題がなければ、再生手続開始が決定されます。

9.個人再生委員の選任・打ち合わせ

裁判所によって異なりますが、個人再生委員が選任される場合があります。その場合、委員との打ち合わせも行なわれます。
個人再生委員には15万~30万円程度の報酬を支払わなければいけません。

10.債権届出期間

各債権者が債権の届出を行ないます。
債権額の確認をするため、数週間の期間を要します。

11.再生計画案の作成

再生計画案を作成します。
作成した計画案に対し、書面決議、意見聴取が行なわれます。
給与所得者等再生の場合、書面決議はありません。

12.再生計画案認可

計画案に問題がなければ認可され、官報に掲載され公告されます。
公告から2週間以内に債権者から異議が出されなければ、認可が確定することになります。
これ以降、再生計画に従って、債権者へ返済をしていきます。

返済が滞ったり、何回も遅れたりすると、再生計画が取り消され、元の債務を全額支払う義務が復活する場合もあります。
任意売却を考える際に、個人再生の方がいいのかもしれないと悩む方は少なくありません。
「任意売却は自宅を失うが、個人再生なら自宅を手放さくていい」という話を聞き、「それならば任意売却よりも個人再生?」と迷ってしまうようです。
本当に任意売却よりも個人再生の方を選択すべきなのでしょうか。

個人再生住宅ローン以外の債務を大幅に減額してもらえるし、自宅を失うこともないので、任意売却よりもよいと考えてしまうのでしょう。
個人再生で減額されるのは住宅ローン以外の債務だけであり、住宅ローンはそれまで通りの返済を続け、完済まで払い続けなくてはいけないのです。
その上で、減額されたとはいえ、住宅ローン以外の債務も支払っていくことになります。

さらに、個人再生をご自分でするには裁判所に納める費用が多くかかりますし、手続きが複雑で、手続きの進め方を誤ると破産処理へ強制的に移行することもあります。
そもそも、住宅ローンを含めて、債務の返済が厳しくなってきたから任意売却や個人再生を考えたはずです。個人再生をして支払う金額を減らすことができても、入ってくる金額が改善されたわけではありません。
個人再生をしたが、それでも支払いができないとなれば、自己破産するしかなくなってしまいます。そうなると、自宅を守るために個人再生を選択したのに自宅を手放すことになり、それも任意売却よりも低い価格で売るしかありません。

個人再生手続きの費用や個人再生後に返済したお金も無駄になってしまいます。
これでは個人再生は自己破産を先送りしているというだけではなく、より多くの物を失ったということになります。
任意売却であれば、住宅ローンを減らすことができますし、自宅に住み続ける方法もあるのです。

個人再生のデメリットは?

任意売却よりもメリットがあるような個人再生ですが、デメリットについても確認しておきましょう。

1.収入がなければ個人再生できない

個人再生は、住宅ローン以外の債務が大幅に圧縮される可能性があり、債務金額によって最低弁済額が決まります。その最低弁済額を、原則3年で完済することを約束する制度です。ですから、自己破産とは違い、返済する必要があるということは、収入がない場合は個人再生手続きをすることはできません。
「将来において継続的に又は反復して収入を得る見込みがあり」(民事再生法第13章第1節第221条)、「給与又はこれに類する定期的な収入を得る見込みがある者であって、かつ、その額の変動の幅が小さいと見込まれるもの」(同法同章第2節第239条)と規定されています。
したがって、失業中の方は、個人再生手続きが認められることは困難です。ただし、正社員である必要はなく、アルバイトやパートでも認められることがあります。

2.家族であっても返済できない

個人再生手続きでは、住宅ローンを除いた、5,000万円以下のすべての借金を対象とします。銀行や信用金庫などの金融機関、消費者金融、クレジット会社などからの債務だけではなく、両親、きょうだい、親族、恋人、知人、友人などからの借金のすべてが圧縮の対象となります。
ところが、個人再生を申請する人の中には、せめて両親やきょうだいなど近い関係の人には全額返済したいと考える人が少なくありません。しかし、個人再生の制度上、そのように債権者を選んで返済するようなことはできないことになっています。

3.ブラックリストに掲載される

個人再生をおこなうと、いわゆる「ブラックリスト」に掲載されることになります。すなわち信用情報機関に「事故情報」が登録されることになり、通常5~10年程度、通常の借り入れや、住宅ローン・自動車ローン、クレジットカードなどの契約ができなくなります。

4.官報に掲載される

個人再生手続きの過程では、国が発行している官報に、住所と氏名が合計3回掲載されます。官報に掲載されるといっても、一般の人は官報を目にする機会はありませんので、近所や知人に個人再生のことを知られてしまうことはほとんど心配いらないと思います。
しかし、金融業者などが官報の情報を基に融資の勧誘をしてくることがあります。悪徳業者であることも考えられますので、気に留めておく必要はあります。

5.手続きが複雑、時間と費用もかかる

個人再生手続きは裁判所に申立てをすることになるので、手続きや書式が厳格であり、決定までに時間がかかる傾向があります。個人再生は再生計画を立案することが求められますが、裁判所や債権者が認める再生計画を作成する必要があるため時間がかかります。個人再生手続きには手数料等もかかりますし、裁判所が個人再生委員を選任する場合には報酬も用意しなくてはいけません。
任意売却や自己破産などと比べると、個人再生が費用面では最もかかるかもしれません。難易度という点でも個人再生は難しいため、弁護士報酬も割高に設定されている法律事務所が多いということがあります。

他のデメリットは

・5,000万円を超える債務に関しては個人再生手続きはできない
・保証人に請求が行く
・再生計画が許可された後、返済が滞ると取り消しされることがあります。
このようなことが考えられます。

認可されるケースと不認可されるケースの違いは?

個人再生の手続の開始にあたっては、開始要件を備えている必要があります。そして、開始要件を備えている場合、次に、債務者によって作成される再生計画が裁判所によって認可される必要があります。再生計画が裁判所によって認可されれば、再生計画通りに債権者に債務返済を行うことになります。

再生計画が認可されるためには、開始要件を具備しているということに加え、認可要件を満たしていることが必要とされています。個人再生の認可については、一定の要件を満たす場合に認可決定されるのではなく、不認可事由がある場合に、不認可を決定するという方法で決められています。
そのため、認可要件を満たしているということは不認可となる事由がないことであるということになります。

民事再生法174条2項は民事再生に共通する不認可事由を定めています。
この事由に該当しない場合に個人再生は認可されます。

不認可となる事由としては、再生手続や再生計画に重大な法律違反があり、その不備を正すことができない場合です。ただし、違反の程度が軽微な時は不認可事由とはみなされません。また、再生計画が遂行される見込みがない場合や、再生計画決議が不正な方法によって成立した場合や、再生計画の決議が再生債権者の一般の利益に反している場合も不認可事由となります。これらの事由の1つにでも当てはまっている場合には再生計画は認可されません。

前述したように個人再生には、小規模個人再生と給与所得者等再生の2種類があります。

小規模個人再生の場合

小規模個人再生には小規模個人再生に特有の不認可事由もあります。先ほどの民事再生共通の不認可事由に加え、次の小規模個人再生に特有の不認可事由に該当すれば不認可となります。小規模個人再生に特有の不認可事由とは、まず収入要件を満たさない場合です。そして、再生債権総額が5000万円を超えており、最低弁済基準を下回っている場合や、再生債権者の頭数の半数以上か再生債権額の過半数以上の同意がないといった場合には個人再生は認可されません。

給与所得者等再生の場合

そして、給与所得者等再生の再生計画が不認可となる場合には、先ほどの民事再生に共通した不認可事由に当てはまることに加え、再生債務者が給与などの定期的な収入を得ていない場合や、額の変動幅が小さいと見込まれる人に該当しない場合や、再生債権総額が5000万円を超えたり、最低弁済基準を下回っていたり、可処分所得要件を満たさない場合が挙げられます。このような場合には個人再生は認められません。逆に、このような場合に該当しなければ、個人再生は認可されます。

個人再生を行う場合は、裁判所への予納金なども発生します。住宅ローン以外の借入金は減額されますが、住宅ローンは減額されませんので、もし支払えなくなってしまったら自己破産の道を進むことになるといえます。

その場合には、はじめから任意売却を検討してみるという方法もあります。任意売却で売却すると、競売よりもより有利な条件で自宅を売却することができます。単純売却は任意売却の一種で、競売より約1.5倍高い売却額となることもあります。任意売却のやり方によっては、そのまま賃貸契約を結んで住み続けることができる場合もあります。

しかし、個人再生が不認可であった場合には、自宅を手放さなければならなくなる場合もあります。その場合には、競売か任意売却を選択することになるといえます。競売よりも少しでも値段が高くなる可能性のある任意売却には様々なメリットがあるため、任意売却を選択する家の持ち主も多くいます。任意売却を行う時には、前後して自己破産の手続きをとる人も多くいます。

このように、個人再生は、住宅ローン以外の借り入れ金の返済が困難な場合、一部を返済する事で残りの借り入れ金を免除してもらうことができる手続きです。個人再生が認可される場合については法律で具体的に規定されています。

監修者


氏名(資格)
小林 幸与(税理士・弁護士)

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弁護士法人リーガル東京は弁護士・税理士などの専門家集団です。当法律事務所に相談依頼するだけで、購入先紹介・売買契約締結交渉・残債務整理・登記手続・税務申告のワンストップサービスを比較的低額の料金でご提供致します。

任意売却はどこに相談・売却依頼すべき?弁護士・法律事務所に相談するメリットとは?

任意売却の手続はどこに依頼するか

住宅ローンの返済が困難になり、督促状や催促状が届いても支払いに応じられずに競売にかけられてしまうとマイホームは失ってしまいます。
しかし競売では安価で処分されることが多いので、多くの住宅ローンの残債が残ってしまうことがあります。

競売にかけられたからと言って全ての住宅ローンの支払いから解放されるわけではないのです。
一般的に新しい住宅より古い住宅の方が価格が下がっていきますので、多くの住宅ローンの残債を抱えてしまうことが多いです。
そんな競売にかけられる前に任意売却と言う対処方法があります。

【弁護士がわかりやすく解説】競売と任意売却のメリット・デメリットを比較

任意売却では競売と違って不動産市場で売却を目指すので競売より高い価格が付くことが多いです。
競売物件は新聞広告に出されるので、それを見られると競売にかけられたことを周囲に知られてしまう可能性があります。
しかし任意売却ではそういった心配が無いのもメリットの一つです。

競売より高く売却できた分だけ住宅ローンの残債を減らすことが出来ます。
債権者側としても競売より任意売却の方が回収できる金額が多くなるので応じてくれることが多いです。
マイホームを失った後は賃貸に入居することになりますので、その後の生活を考えると競売はデメリットが多いです。

任意売却をご本人で手続しようとしても知識が無いと中々難しいものがあります。
そんなときでも専門知識を持った業者に依頼すればスムーズに手続が進みます。

依頼先としては専門の不動産業者、弁護士といった士業があります。
どちらに依頼しても同じではないのできちんと選定することが大切です。
専門の不動産業者では不動産についての知識は豊富ですが、実績が少ないと法的な手続についての知識に乏しいことがあります。

住宅を売却するだけなら不動産業者で良い

任意売却をだれに相談したらいいものかとインターネットで検索してみると、弁護士にすべきという意見と、不動産業者にすべきという意見が多く、どうしたらいいのかわからないという話をよく耳にします。
任意売却することに決めているということであれば、不動産業者を選んでもいいと思います。住宅を売却するだけなら不動産業者もできますし、弁護士費用も必要ないからです。

住宅ローンが残りそうな場合は弁護士がベスト

しかし、住宅を売却してもローンが残る場合や住宅ローンのほかにも借り入れがある場合のほか、事業の整理を伴う任意売却の場合は、弁護士に相談した方がいいでしょう。

任意売却は法的な手続ですので、専門の不動産業者に依頼するときは実績が多いところを選定された方が良いです。
しかし任意売却後の住宅ローンの残債の返済と言った生活再建のことまで考えると、弁護士に依頼した方がメリットがあります。

弁護士に相談すれば、任意売却以外の解決方法を提案することもできます。任意売却がベストな方法だと考えていたが、弁護士に相談したところ、任意売却では解決しないだけでなく、新たな問題が発生してしまうことが判明するケースなどもあるからです。

当初の予定どおり任意売却するとしても、抵当権者、差押債権者などと条件交渉をしなければいけません。任意売却には、民法、民事訴訟法、民事保全法、民事執行法、区分所有法、債権に関する法知識が必要な場合が少なくありません。

金融機関に対し、抵当債務額より少ない金額で抵当権を解除してもらうような、いわゆる「損切り交渉」をする場合、金融機関の多くが弁護士との交渉を望む傾向があります。損切り交渉を不動産業者が行うと弁護士法違反に問われるリスクを避けているのだと思われます。弁護士が相手であれば金融機関も安心して交渉のテーブルにつくことができるのです。

不動産業者に任意売却をしてもらっても、住宅ローンやその他の債務が残るのであれば、任意売却する意味がありません。もちろん債務額を減らすことはできるでしょうが、住宅を任意売却したにも関わらず、また債権者から督促状が届き、そこから再度、債務整理をするために弁護士費用を工面しなくてはいけないとなれば、もうどうにもできなくなることもあるでしょう。

不動産業者や銀行は、とにかく任意売却してしまえばいいという判断や手段を選択する場合があります。任意売却の先のことまで考えてくれないことや、任意売却する人の要望などをまったく聞いてくれないことさえあるのです。

任意売却を弁護士に相談する3つのメリット

任意売却を行う際には、弁護士か専門の業者、どちらかに依頼をすることになります。

自分の物件を売却する手伝いをしてくれる相手を探すわけですから、慎重に選びたいところです。

一般的な話をすれば、任意売却の際には弁護士に依頼をするものです。費用がかかるにも関わらず、どうして弁護士に依頼をするのかと不思議に思う人もいるかもしれませんが、その理由は単純に、そこに明確なメリットが存在するからなのです。では、いったいどのようなメリットが存在するのか、紹介していきます。

メリット① 法的な手続がスムーズに行える

任意売却を行う際には、債務整理なども行うことになるため、法律の知識や法律を扱った経験がないと、かなり手こずることになります。住宅ローンを払うお金がないからこそ家を売ろうとしているにも関わらず、手続などで時間がかかってしまえば、その間も住宅ローンを支払わなければならなくなってしまいます。そのようなことが原因で、業者に依頼した人が弁護士に依頼し直すという例も存在するのです。

不動産会社の中には、任意売却の経験が全く無いという業者も存在します。法律家の中にも、この問題を全く扱ったことのない人は存在しますが、それを専門に行っているという人も存在するため、経験豊富なプロを見つけることができれば何の問題もありません。やはりこのような問題は、法律のプロに依頼をするのが一番安心できるのです。

メリット② 不動産会社に対しても意見を言うことができる

弁護士に任意売却を依頼しても、別の不動産会社と売買契約を結ばなければならないため、そのような二度手間を避けるために最初から不動産会社に依頼をするという人がいます。確かにそれは事実なのですが、不動産会社に依頼をし、その会社の法律家が法的な手続を行うということになった場合には、様々なことを決める時に、あなたの意見が反映されにくくなってしまうというデメリットが出てきてしまいます。

法的な見解と不動産会社の見解は、必ずしも一致するものではありません。不動産会社はとにかく物件を高く売ることだけを考えますが、弁護士はあなたの今後の人生を見据え、法的にできる範囲全てを考慮しながら、様々な提案を行ってくれます。

不動産会社だけに依頼をしてしまうと、この問題において素人であるあなたは、言われるがままに物事を決めてしまうことになります。しかし、弁護士に依頼をしておけば、法律のプロを通して不動産会社に意見を言ったり、不動産会社が提案してきた内容を、第三者と一緒に吟味することができるようになるのです。

不動産会社が悪質なところばかりだと言っているわけではありませんが、大事な問題ですので、様々な可能性を考えながら結論を出すほうが納得できるはずです。つまり、安心して任意売却を行いたいのであれば、プロの法律家に依頼をするべきだと言えます。

メリット③ 多重債務者は特にメリットが大きい

住宅ローンの問題だけではなく、消費者金融などからも多くのお金を借りているというような人の場合、弁護士に依頼をしたほうが良いです。闇金などからお金を借りており、そちらの問題も解決したいという人も同様です。

不動産業者はあくまでも家を売却することしか行ってくれません。任意売却以外にも法律家の手が必要である場合には、結局はプロの法律家に依頼をすることになるのですから、最初からそうしておいたほうが手間が省けるのです。

また、自己破産などを考えているという人も同様です。バラバラの人に依頼をすると、情報の共有が難しくなってしまうため、一人の人に全てを依頼するようにしたほうが合理的で、金銭面でも得することがあります。

任意売却はあくまで解決方法の1つ

任意売却をすることは決めているが、これまでの生活や家族のことを考えて、その家に住み続けたいという希望があっても、その希望どおりに任意売却してくれないこともあるのですが、最近は「リースバック」という方法があり、任意売却した後もその家に住み続けることができる方法があるのです。

債務が残るような方法であるのに強引に任意売却させようとする業者もいます。そのようなケースでは、そもそも任意売却がベストな解決方法ではない場合もあるのです。

弁護士であれば、住宅を売却しないで個人再生や任意整理で解決する方法もアドバイスできますし、もちろんその手続もします。住宅を売るにしても、さきほどのリースバックや親子での売買や親族との売買などの方法を考えることもできます。

任意売却は競売が開始される前に完了させる必要があります。弁護士であれば競売を取り下げてもらう交渉もできます。しかし、競売を取り下げても、任意売却が進まなければまた競売にかけられてしまいます。競売だと売却価格が任意売却よりもかなり低くなりますし、残ったローンの一括返済を求められることになります。任意売却であれば、市場価格に近い金額で売却することができます。

競売の場合、引越し先が決まっていなくても強制的に退去しなくてはいけませんし、売却したお金はすべて債権者に支払うことになるので引越し費用もありません。任意売却であれば引越費用は確保されますし、すぐに退去しなくてもいいのです。さきほど例にあげた方法で任意売却した後も住み続けることもできますし、競売とは違い、周囲の人に知られることもありません。
任意売却についてだけではない方法まで考えて、依頼者のために力を尽くすことができるので、任意売却は経験と実績ある弁護士に相談すべきなのです。

監修者


氏名(資格)
小林 幸与(税理士・弁護士)

-コメント-
弁護士法人リーガル東京は弁護士・税理士などの専門家集団です。当法律事務所に相談依頼するだけで、購入先紹介・売買契約締結交渉・残債務整理・登記手続・税務申告のワンストップサービスを比較的低額の料金でご提供致します。

住宅ローンが払えない場合の方法の1つ「親子間売買」。リースバックとの違いと注意点を弁護士が解説

「親子間売買」と「リースバック」の違い

持ち家や不動産物件を所有している人が住宅ローンを支払う事が出来なくなってしまった場合に利用する売却方法の一つに任意売却である「リースバック」があります。
任意売却である「リースバック」は不動産物件を親族や投資家や企業などの第三者に売却した後も住み慣れた自宅に家賃を支払ってそのまま住み続ける事が出来る便利な任意売却の方法とされています。

リースバックとは何?カンタンに仕組み・メリット・デメリットを解説

親子間での買い戻しについて

自宅である持ち家と不動産物件を任意売却であるリースバックを行って一旦は親族や友人、企業や投資家などの第三者に売却しても、期間内に「買い戻し」を行う事で再び自宅と不動産物件を自分の手に戻す(所有権の移動)事が可能です。

この買い戻しを行う相手が実の親、実の子である親子間売買の場合、自宅と不動産物件を所有している所有者が親や子である訳ですから、不動産物件をわざわざ買い戻さなくても良い事になりますので、これは元々不動産物件を所有していた人にとってはメリットとなります。

しかし、リースバックを行う相手が実の親、実の子である「親子間売買」であった場合には、その売却方法はリースバックとは呼ばず、「親子間売買」に分類される事となります。

「親子間売買」は一見すると親族や友人などと不動産物件の売買を行うリースバックと似ていますが、親子間売買とリースバックには同じ任意売却という売却方法ながらも双方の間には明確な違いが存在しており、親子間売買ならではの問題も発生してきます。

「親子間売買」の3つの注意点

注意点① 不当に安い価格で売買した場合

親子間売買なのだから、不当に安い価格にして売買したらいいのではないかと思いかもしれませんが、
それでは任意売却をしても債務を支払うことができないだけではなく、著しく低い金額で不動産を親子売買すると、多額の贈与税がかかるケースがあります。

注意点② 不当に高い価格で売買した場合

逆に、任意売却で債務返済額を増やそうとして、不当に高い金額で売買をした場合でも多額の譲渡所得税がかかることになります。ですから、不動産市場の時価に近い金額で売買するしかありません。

注意点③ 住宅ローンを組んで買ってもらう場合

現金一括でそれだけの額を支払うことができるケースは稀でしょうから、買う側が住宅ローンを組むことになります。

以前は親子間売買に対して住宅ローンを融資してくれる金融機関はほとんどありませんでした。
ところが、最近になって、親子間売買という方法に対しても住宅ローンを融資してくれる金融機関がいくつか出てきたのですが、金利が高めに設定されているので、利用する際には十分な検討が必要になります。
ただし、一般的な金利で住宅ローンを利用することができるノウハウを持っている専門家もいます。

ほとんどの金融機関が住宅ローンの融資を拒む理由はいくつかあります。

まず、金融機関とローン保証会社との保証契約の中に、
「貸付対象物件の売主が申し込み本人の配偶者、親、子のいずれかである場合、保証の対象とならない」
という条項があるからです。この項目により、夫婦間や親子間の不動産売買には融資しないということが決められているのです。

また、任意売却ということを偽って、金利の低い住宅ローンで融資を受けた者が、別の目的でそのお金を使う危険性も心配しているのです。
さきほども述べましたように、親子間売買の金額設定が不適切であることも考えられます。

さらに、法的な観点や一般慣習上の観点でも、親子間や親族間の場合、所有権移転の原因は相続か贈与であるから売買というのはおかしいと判断されることもあります。
このような理由から、金融機関は親子間売買に対しては、積極的に住宅ローンを融資することがありません。

それから、金融機関の問題ではなく、税制面でも親子間売買の方法にはデメリットがあって、住宅ローン控除などが受けれないなどの税制上の優遇措置を受けることができないということがあります。

このように親子間売買には銀行からの融資が難しくなる、という注意点が存在しますので、親子間売買をする場合には所有権の移転をどうするのかをじっくりと親子で話し合う必要があると言えます。

任意売却を親子間売買でおこなうのであれば、さきほどご紹介しましたように金利が高めの金融機関で住宅ローンを融資してもらうことや、一般的になりつつある「リースバック」という制度を利用することもできますが、どちらも問題がないわけではありません。
どちらにしても、任意売却の経験と実績が豊富にある専門家にできるだけ早く相談することが先決です。

監修者


氏名(資格)
小林 幸与(税理士・弁護士)

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